キッチンでよく見る「垂れ壁」の役割とは?開放的な間取りへのリフォーム方法も解説

天井部分から下に垂れ下がった形状をしている「垂れ壁」。

「圧迫感があって邪魔!」…という意見もよく耳にしますが、どんなメリットがあるのかも気になるところです。

この記事では、垂れ壁の役割やメリット・デメリット、垂れ壁をリフォームするときの注意点、施工の実例などについて紹介します。

垂れ壁とは?

垂れ壁とは、天井や梁から垂れ下がっている壁のことです。

下がり壁」と呼ばれることもありますが、意味はほとんど一緒です。


煙の充満を防ぐ効果があるため、主にキッチン周りでよく見かける形ですが、最近ではデザインを重視してリビングや居室にあえて垂れ壁を作るケースも増えています。

垂れ壁のメリットは?

垂れ壁にはどんなメリットがあるのでしょうか。

機能性に加えてデザイン面のメリットも解説します。

壁を使わずに空間を区切る

通常部屋を区切るときは壁や仕切りを使うのが一般的ですが、何も考えずに配置すると狭くて窮屈な印象を与えてしまう可能性があります。

特に日本の住宅は天井が低く部屋の広さを確保しにくいので、その影響を多大に受けてしまうもの。

そんなときに活用したいのが、垂れ壁で空間を区切るテクニックです。


空間を分けたい場所に上手く垂れ壁を設置することで、壁や扉を使わずに独立した空間を作ることができます。

天井の高さが違うので視覚的にも独立した空間に感じやすく、開放感を損なうこともないのでおすすめです。

おしゃれなデザインの部屋を作れる

複数の垂れ壁パターン組み合わせることで、立体感や奥行きを感じさせるおしゃれな空間を作ることができます。

斜めの垂れ壁を配置して丸みのあるデザインにしたり、垂れ壁の高さを調節して生活スペースを見えにくくしたりと、アイデア次第で自由度の高い空間を作れるのが魅力です。

垂れ壁の形状も三角・波状・アーチと種類が多く、作り方によってはガラス素材などを使うことも可能。

リフォームの自由度が非常に高く、新築・リノベーションどちらでも理想的なデザインを実現できます。

火災時に煙の充満を防ぐ

垂れ壁の本来の目的は、万が一”火災が起きたときに煙の充満を防ぐ”こと。

煙は上方向に溜まってから急速に部屋全体に広がる性質を持っているので、垂れ壁を設置するだけで充満スピードを大幅に抑えることができます。

特にキッチン周りは建築基準法の規定によって垂れ壁の設置が義務付けられている場合があるので、リフォームするときは特に注意して見ておきましょう。

垂れ壁のデメリットは?

おしゃれなデザインを作りやすい垂れ壁ですが、配置方法を間違えると悪い部分が目立ってしまうことも。

ここからは、特に言われることが多い垂れ壁のデメリットを3つ紹介します。

光が入りにくくなる

上部空間に壁が増えてしまうので、通常の間取りよりも光が届きにくくなるデメリットがあります。

蛍光灯や間接照明の光はもちろん、窓から入る自然光も阻害してしまいます。

垂れ壁の構造によっては照明や家具の設置がしにくくなることもあるので、採光とインテリアのバランスを予測しながら慎重に作る必要があります。

圧迫感を感じやすい

本来空いているはずの空間に壁を増やしているので、設置する場所によっては圧迫感を感じやすくなります。

背の高い人だと実際に感じる圧迫感は予想以上に強く、垂れ壁の位置が低すぎると快適性が損なわれる危険性があります。

部屋の広さや設置範囲によっても印象は変わるので、圧迫感とデザイン性のバランスを調整しながら、最適な大きさ・高さ・形状を選ぶ必要があるでしょう。

生活範囲が狭くなる

天井から壁を下げたぶん活動範囲が削られてしまうのも見逃せないポイントです。

間取りによっては移動ルートや生活スペースにしにくいこともあり、特に家具の配置については頭を悩ませることが多くなるでしょう。

ぴったりはまるサイズの家具家電があるなら大丈夫ですが、壁一面に設置するタイプの本棚や収納ラックなどは置きにくくなってしまいます。


見た目のデザイン性だけでなく、実際の生活をイメージしながら設置場所を決めるのが得策です。

キッチンの「垂れ壁」は必要?

垂れ壁の設置場所として特に多いのが、ダイニング・キッチン周りです。

キッチン近くの垂れ壁は光を遮ってしまうため、「調理中に手元が暗くなる」「調理時に邪魔!」…などの意見もよく見かけます。

しかし、キッチン近くに垂れ壁が多いのには明確な理由があります。

当時の建築基準法では調理スペースにおける防煙の基準が厳しく設定されていたため、たとえデザイン性を損うとしても規格に沿った垂れ壁を作る必要があったのです。

しかし、この制約は平成21年の法改正により緩和され、コンロ周辺を不燃性材料で作るなどの基準を満たせば、戸建て住宅に限り垂れ壁を設置しなくても良いことになりました。


そのため、自由な間取り設計ができる注文住宅においては、垂れ壁を完全撤去した開放的なキッチンスペースを作ることができます。

ただし、コンロ周りの基準は従来の建築基準法よりも厳しくなっているため、設計段階で注意深く確認しておく必要があります。

おしゃれな垂れ壁のリフォームアイデアを紹介

ここからは、おしゃれな垂れ壁のリフォームアイデアを紹介します。

垂れ壁の特徴とメリットを最大限に活かせるように、様々な施工パターンをチェックしておきましょう。

オープンスタイルのキッチンで開放感を演出

白で統一されたキッチン

前述の通り、戸建て住宅ではコンロ周りの基準を満たせば垂れ壁を撤去できます。

垂れ壁と天井周りの収納を全て撤去することで、開放感溢れるキッチン周りを実現することができます。

水回りの条件が整っていれば、独立した調理スペースを作れる「アイランドキッチン型」にしてしまうのもおすすめ!

なお、集合住宅については規制緩和の対象外なので、キッチン部分のみのリノベーションを企画している人はくれぐれも注意しましょう。

和室の垂れ壁リフォームでモダンスタイルに

和室から見えるLLDK

垂れ壁リフォームは通常の居室でも活用可能です。

特に和室のリフォームを検討している人は、垂れ壁の設置・撤去を効果的に行うのが良いでしょう。

襖や垂れ壁を撤去してオープンスペースの和室を作るのも良いですし、垂れ壁の素材を変えておしゃれな雰囲気にするのも良し。

垂れ壁部分をオリジナルの装飾にすることで、普通の部屋とは一味違うモダンスタイルの和室を作ることができます。

垂れ壁に加えて畳の小上がりスペースを作れば、リビングスペースの一部を和室エリアにすることもできます。

アーチ垂れ壁で部屋をおしゃれに

薄いグレーの壁で家具が何もない部屋
Photo by Kari Shea on Unsplash

おしゃれ度をさらに上げたい人は、アーチ型の垂れ壁にチャレンジしてみるのも一つの手。

丸みのあるデザインは通常よりも柔らかい印象を与えやすく、海外風のかわいいインテリアとも相性バッチリです。

扉の代わりにアーチ型の垂れ壁を設置するのも良いですし、アーチの幅を浅く広くすれば、部屋の区切りに使っても違和感を感じさせません。

開放感と空間の独立性を両立できるので、面積が狭い部屋のリフォームにも活用しやすいのがメリットです。

上手に垂れ壁を配置しておしゃれな家に

今回は垂れ壁の特徴やリフォーム時の活用アイデアを紹介しました。

垂れ壁は見た目のメリット・デメリットがはっきりしているので、使い方次第で印象が大きく変わってしまうのがポイントです。

メリットのみを上手に活かせるように、事前にリフォームのイメージを確認しながら理想的な垂れ壁リフォームを実現してみてくださいね。

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KAORIインテリアプランナー
シンプルテイストな空間デザインを得意とするインテリアプランナー。ものづくりの現場好きが高じて2級建築士も取得。女性ならではのきめ細やかな提案を心がけています。心地よい空間に身を置くこと、きれいな景色を眺めることが何よりの癒し。ストレス解消は美味しいものを食べること!料理も大好きです。