税制などのメリットが多い?長期優良住宅の基準や知っておきたいポイントを解説

長期優良住宅とは、長い期間快適な環境で過ごせる対策を施した住宅のこと。

認定を受けるには9つの厳しい基準を満たす必要がありますが、税制や住宅ローンなどにおいて多くのメリットを受けられるのが特徴です。

今回は長期優良住宅に関する基礎知識について解説します。

長期優良住宅とは

緑の広がる野原に建つ一軒家

長期優良住宅とは、平成21年(2009年)に始まった長期優良住宅認定制度の基準をクリアした住宅のことをいいます。

長期優良住宅認定制度は、平成21年に施行された長期優良住宅の普及の促進に関する法律によるものです。

住宅の新築に限らず、既存の住宅を増改築する際にも長期優良住宅に認定されます。

長期優良住宅の認定の9つの基準とは?

書類を記入している様子

住宅が長期優良住宅として認定されるためには、9つの基準を満たす必要があります。

新築と増築・改築の場合の違いについても解説します。

劣化対策

劣化対策として、数世代にわたり住宅使用できるように作り上げることが求められます。

新築・増築・改築のいずれにおいても、劣化対策等級3相当を満たすことは共通しています。

新築の認定基準の内容は次の通りです。

木 造 》床下・小屋裏に点検口を設置する。床下空間の有効高330mmを確保する。
鉄骨造 》さらなる防錆措置を講じるか、木造と同様の措置を講じる。
R C 造 》水セメント比を5%低減又はかぶり厚さを1cm増加する。
     増築・改築の認定基準もほぼ同じですが、RC造のみ違いがあります。
     または、中性化深さの測定値が一定値以内とする 。

耐震性

設計をしている様子

耐震性の基準は、大規模地震に遭遇しても改修工事ができるように、損傷レベルの低減を図ることが求められます。

新築では耐震等級1・2・免震建築物であることのいずれかを満たす必要があります。

尚、耐震等級1においては限界耐力計算を実施し、限界変形が100分の1以下にしなければなりません。

増築・改築においては、耐震等級1・免震建築物であることのいずれかを満たす必要があります。

可変性

吹抜のあるリビング空間

可変性は共同住宅が対象で、居住者のライフスタイルの変化に応じて間取りの変更が可能な措置を講じることが求められます。

新築においては、住居専用部の更新対策、躯体天井高2,650mm以上であることを満たす必要があります。

また、増築・改築においては、住居専用部の更新対策・躯体天井高2,650mm以上であること、もしくは居室天井高2,400mm以上のうち、いずれかを満たす必要があります。

維持管理・ 更新の容易性

維持管理・更新の容易性とは、設備が古くなったときのどれだけ効率よく管理・取り替えができるかの指標です。

構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備については、維持管理を容易に行うための措置が講じられていることが求められます。

新築・増築・改築のいずれにおいても、以下の基準を満たす必要があります。
●維持管理対策等級3(専用配管)
●維持管理対策等級3(共用配管)
●更新対策等級3

高齢者等対策

スロープの場所を示すピクトグラム

高齢者等対策は共同住宅が対象。

将来のバリアフリー改修に対応できるよう、共同廊下などに必要なスペースが確保されることが求められます。

増築・改築では、高齢者等配慮対策等級3であることが求められますが、新築では高齢者等配慮対策等級3以上である必要があります。

省エネルギー対策

省エネルギー対策としては、必要な断熱性能などの省エネ性能が確保されることが求められます。

新築では断熱等性能等級4であること、増築・改築では、断熱等性能等級4、もしくは、断熱等性能等級3かつ一次エネルギー消費量等級4であることのいずれかである必要があります。

住戸面積

住戸面積としては、良好な居住水準を確保するために必要な規模であることが求められます。

新築・増築・改築のいずれにおいても、以下の基準を満たす必要があります。

●一戸建て …… 床面積の合計が75㎡以上であること
●共同住宅等 … 一戸の床面積の合計が55㎡以上であること

居住環境への配慮

居住環境への配慮としては、良好な景観の形成や、その地域における居住環境の維持・向上に配慮する必要があります。

どのような景観を目指しているかは地域によって異なるので、居住地域の項目を詳しくチェックする必要があります。

新築・増築・改築のいずれにおいても、以下の基準を満たす必要があります。

「地区計画・景観計画・条例によるまちなみ等の計画のほか、建築協定等の区域内にある場合、内容に適合する基準であること」

維持保全計画

点検の様子

維持保全計画の認定基準は、住宅を建築している最中から将来を見据えて定期的な点検・補修等に関する計画を作っていることが条件。

新築・増築・改築のいずれにおいても、維持保全計画に「構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分、給水・排水の設備について仕様に応じた点検項目・時期」を定めるなどの必要事項を盛り込む必要があります。

長期優良住宅のメリットとは?

mortgage

長期優良住宅を建てると各種税金や住宅ローン優遇などのメリットがあります。

長期優良住宅のメリットについて、5つのポイントに絞って解説します。

控除などの税の優遇

長期優良住宅を建てると税の優遇があります。

例えば、不動産取得税については一般住宅では1,200万円の控除なのですが、長期優良住宅の場合は1,300万円へと控除額が拡大されます。

不動産取得税は不動産を取得した時にかかる税金。

つまり家を建てれば必ず発生する税金なので、控除額が大きくなれば減税に繋がるのでメリットですね。

固定資産税も長期優良住宅は税の優遇があります。

床面積が50m2以上280m2以下の場合に、一般の戸建てでは3年間、マンションでは5年間にわたり税金が半分に減税される優遇措置があります。

長期優良住宅の場合では、優遇措置の期間が長くなります。

戸建てでは5年間、マンションでは7年間の間にわたって税金が半分に減税される優遇措置が行われます。

住宅ローンの優遇措置

長期優良住宅を建てると住宅ローンの優遇措置もあります。

一般住宅では4,000万円までなのですが、長期優良住宅の場合は5,000万円まで引き上げられるのです。

控除額は1%で10年間にわたって控除されるため、最大500万円の控除額となります。

補助金が受けられる

長期優良住宅を建てると補助金を受けられることがあります。

木造住宅では地域型住宅グリーン化事業から補助金が受けられ、増改築等工事でも補助金が受けられます。

保険料の優遇や軽減

日本は世界有数の地震大国ですから、家を建てるときに地震保険に加入する人が多いでしょう。

長期優良住宅は地震保険の割引があります。

地震保険の割引の種類は次の通りです。

建築年割引………【割引率】10%
●耐震等級割引……【耐震等級1の割引率】10%、【耐震等級2】30%、【耐震等級3】50%
免震建築物割引…【割引率】50%
耐震診断割引……【割引率】10%

長期優良住宅の場合は、耐震等級割引もしくは免震建築物割引の対象となります。

ちなみに地震保険の割引は重複して割引を受けることはできず、割引率が高いものだけが適用されます。

火災保険の割引については、長期優良住宅だからといって割引の対象になることはありません。

売却時の付加価値

長期優良住宅は、売却する時にも一般の住宅より高値が付きやすいこともメリットです。

一般の住宅は建築から20年経過すると資産価値が0円になってしまうことがほとんどですが、長期優良住宅であれば国の基準で優良性が認められているので、売却するときに高く売れる可能性が高いのです。

長期優良住宅のデメリットはある?知っておきたいこと

悩んでいる様子

長期優良住宅を建てると多くのメリットがあることが分かりました。

ただし、長期優良住宅にもデメリットや注意したいポイントもいくつか存在します。

維持コストや定期点検を視野に入れておこう

長期優良住宅には申請と建築コストがかかることに注意して下さい。

申請コストとは、長期優良住宅を申請してから時間がかかるということです。

数週間~1ヵ月程度の申請期間がかかります。

長期優良住宅は水準の高い物件であるだけに、一般の住宅よりも1.2~1.3倍の建築コストがかかってしまうのです。

また、長期優良住宅は定期点検が必要な点にも注意しましょう。

5年・10年のサイクルで行政より定期点検の案内が届きます。

長期優良住宅の認定を維持するためには、定期点検を欠かさずに行うことが大切です。

行政から報告を求められることもありますが、出来る限り正確に報告して下さい。

ここで虚偽の報告をしてしまうと長期優良住宅の認定を取り消される可能性もゼロではありません。

長期優良住宅の仕組みを知って賢く活用!

吹抜と大開口が特徴のリビング空間

長期優良住宅は、税制や住宅ローンにおいて優遇措置を受けられたり、資産価値が高まることで高く売却したりすることができます。

メリット・デメリットを正しく知って、長期優良住宅を検討・活用してみてください。