賃貸併用住宅で後悔しないためには?特徴・メリット・建築リスクについて解説

    夢のマイホームと家賃収入を両立できる「賃貸併用住宅」は、生活をしながら不動産オーナーにもなれる特殊な住宅です。

    上手に活用すれば住宅ローンを利用しつつ不動産収入を得られる反面、運用に失敗すると赤字になってしまうリスクも。

    今回は賃貸併用住宅のメリット・デメリットや、建てるときに気をつけたいポイントについて徹底解説します。後悔しない賃貸併用住宅を建てるためにも、しっかりと知識を身に付けておきましょう。

    「賃貸併用住宅」と「賃貸物件」の違いとは?

    下に店舗、上に住宅のある建物

    賃貸併用住宅とは、同じ建物内に「自宅」と「賃貸物件」がある建物のことです。

    最大の特徴は、条件次第で金利の低い住宅ローンを使用できること。
    デメリットの少ない住宅ローンを使用して持ち家を購入しつつ、月々の家賃収入で安定した収益を得られるのが特徴です。

    一方で賃貸物件とは、100%賃貸目的で運用する物件のこと。
    家賃収入や不動産投資目的で売買されるのが一般的です。
    自宅として使うことはできず、賃貸契約で他人に貸し出しすることが前提となります。住宅ローンは使用できず、アパート用ローンを使って購入することになります。

    賃貸併用住宅の間取りはどうする?

    賃貸併用住宅を建てるときに気になるのが、住宅部分と賃貸部分の間取りのバランスです。

    最適な間取り構成は、地域の賃貸需要や家族構成によっても異なりますが、ここでは特に有名な間取りタイプを3つ紹介していきます。

    縦割りタイプ

    縦割りタイプとは、住宅部分と賃貸部分を縦に分断したタイプのこと。

    住宅と賃貸どちらも1階・2階部分を使用できるのが特徴で、上下で分けた場合よりも騒音が少なくなるのがメリットです。賃貸部分は、1階と2階を合わせて一つの住宅として貸し出す方法と、それぞれを別々の部屋として貸し出す方法の2種類に分かれます。

    どちらが良いかは単身者向けか家族向けかによっても異なるので、地域の賃貸需要に合わせて選択するのが良いでしょう。

    上下タイプ

    上下タイプとは、1階が住宅部分、2階が賃貸部分…というふうに階層で住む場所を分けるタイプのことです。

    賃貸需要や住宅の性能によって、1階と2階どちらを自宅にするかを選択できるのが魅力!
    1階は階段の上り下りがなく、庭を使用することができます。
    2階は足音などの騒音が少なく、プライバシーを確保しやすい特徴があります。

    防犯やプライバシーに優れる2階のほうが賃貸物件としての人気が高いので、好みや需要に合わせて間取りを考えてみるのが得策です。

    中高層建築物にする場合

    中高層建築物とは、いわゆるマンションタイプの複合物件のことです。

    階層ごとに住宅・店舗・事務所・賃貸物件とバランスよく配置できるため、より自由に間取りをデザインすることが可能。最上階を広めの自宅にしたり、1階部分に商業用店舗を入れたり、2つの階層で二世帯住宅のように活用することもできます。

    大規模な建築物になるほど費用がかかるので、収益化については特に入念に計算しておく必要があります。

    賃貸併用住宅にするメリットとは

    賃貸住宅

    賃貸併用住宅を建てるとどんなメリットを得られるのでしょうか。
    通常の住宅と比較した場合の特徴・魅力を紹介していきます。

    家賃収入で家を建てる費用を軽減できる

    通常の住宅と異なる一番のポイントは、賃貸物件の家賃収入が発生することです。
    賃貸にできる割合や条件が決まっているので大きく儲けることはできませんが、毎月安定的な収益が手に入るのが魅力です。

    上手くいけば家賃収入を月々のローン返済の足しにできるので、少ないコストでマイホームを購入できることになります。

    条件を満たせば住宅ローンも組める

    条件をクリアすれば低金利の住宅ローンを組むことができます。
    通常の賃貸物件では金利の高いローンしか組めないので、家賃収入のメリットを活かしつつ好条件でマイホームを購入できます。

    仕事や所得、家族構成など審査項目は多いですが、予算に見合った物件規模なら審査を通すこと自体は難しくありません。有利な条件でお金を借りるためにも、住宅ローンの審査条件を事前によくチェックしておくのが鉄則です。

    敷地を最大限活用できる

    更地

    土地の広さを最大限に活用して住宅を建てられるのもメリットの一つ。
    賃貸併用住宅では多少広めの間取りにしても、賃貸スペースを多く割り当てることでコスト面の問題を解決できます。

    家族構成やライフプランの変化に応じて賃貸スペースを増やしても良いし、将来は投資用物件として売却することも可能。リフォームして二世帯住宅にするなど、汎用性高く土地を活用できるのが魅力です。

    税金対策ができる

    税金面でも優遇されているのが賃貸併用住宅のポイント。
    各種住宅ローン控除が使えるほか、固定資産税・都市計画税などの税金も軽減対象になります。

    特定の法律を活用することで、土地の相続税を軽減することも可能に。そのため、各種控除や減税対象条件をクリアしつつ、理想的な賃貸併用住宅を作るのが基本方針になります。

    不動産収入で老後の不安を解消できる

    ベンチに座るご老人

    賃貸併用住宅は長期運用しやすい投資物件としても知られています。
    ローンを完遂した後は家賃収入をそのまま生活費にできるので、老後の生活リスクを大幅に下げることができます。

    アパート運営よりも手軽に始めることができるため、年金生活時の安定した副収入として活用できます。

    しっかり把握しておきたい!
    賃貸併用住宅のデメリットやリスク

    マイホームと賃貸物件の良いとこ取りができる賃貸併用住宅ですが、デメリットにも目を向けておかないと、建てた後に致命的なリスクを背負う羽目になります。

    賃貸併用住宅で発生するデメリットについてよく確認しておきましょう。

    空室になるリスクを考えておく

    空室

    賃貸物件の宿命ですが、”常に空室になるリスク”があります。

    空室の期間は家賃収入がゼロになってしまうため、期間が長くなればなるほど赤字のリスクが大きくなります。特に賃貸併用住宅は月々のローンが高くなりやすいので、空室期間は家計を圧迫しがち。

    ただ建てただけで長期入居してくれるほど甘い世界ではないので、地域の賃貸需要をしっかりと見極めてから物件を建てる必要があります。

    売却しにくい可能性がある

    将来的に賃貸併用住宅を売却することになった場合、好きなタイミングで売りにくくなってしまう可能性があります。
    普通の住宅と比べて賃貸部分の管理やメンテナンスが大変なので、買い手の数自体が少なくなりがちなのです。

    地域の需要減や資産価値の低下によって値崩れが起きた場合は、ローンの支払い額に見合わない安値で売る羽目になるケースもあります。

    設計を失敗すると暮らしにくくなる

    賃貸併用住宅は通常の住宅と比べて配慮すべきポイントが多く、設計を失敗するとかえって住みづらい住居になってしまいます。

    どのタイプを選んだとしても分譲住宅のような構造になるので、”住民とのプライバシーを十分に確保できる設計にする”のが大切。

    また、自分が住む場所だけでなく、賃貸住居も快適に暮らせるような環境作りに注力しましょう。生活環境やサポート体制が良くないと入居者が長く居つかないので、安定した家賃収入が望めなくなってしまいます。

    賃貸併用住宅で失敗しないためのポイント

    後悔しない賃貸併用住宅を建てるには、いくつか注意しておきたいポイントが存在します。

    専門の賃貸併用住宅経営・管理会社に任せる

    悩んでいる人

    管理数の少なさから、「自主管理をして管理費を節約しよう」と考える人が多いですが、結論から言うとかなり大変なのでやめたほうが良いです。

    入居者の問い合わせ対応・設備メンテナンスの手配・入居における各種手続き・トラブル対応など、管理業務は多岐に渡ります。
    本業の合間にこれら全ての作業をスムーズに行うのはなかなか厳しく、管理不足から入居者に不信感を与えてしまうケースも少なくありません。

    ストレスを軽減して自分の時間を確保するには、”多少の費用をかけても管理会社に丸投げしてしまうのが一番楽な方法”です。

    賃貸併用住宅の実績・ノウハウを持っている会社に頼む

    賃貸併用住宅を建てるときは、豊富な施工実績とノウハウを持っている会社に依頼するのが鉄則です。

    家の住みやすさだけではなく、賃貸併用住宅に適した土地選びや、人気地域の選定、賃貸需要のリサーチ、間取りに合った動線設計など、あらゆるバランスを考慮する必要があります。
    要望や予算、収益化のプランと照らし合わせながら、最も相性の良い施工会社を選びましょう。

    将来のメンテナンスも見据えてバランスよく設計する

    賃貸併用住宅は、維持・管理コストが半永久的にかかります。
    定期的なメンテナンスや、維持・管理業務は必ず必要になってくるので、年間にかかる費用を計算しながら間取りや導入設備を決めましょう。

    高性能な設備を導入すると維持が大変になるので、表面的な値段や性能だけでなく、管理コストと収益性のバランスを重視して設計することが大切になります。

    将来を見据えた賃貸併用住宅を建てよう

    今回は賃貸併用住宅の特徴や魅力、建てるときの注意点について詳しく解説しました。

    マイホームと賃貸物件どちらのメリットも得られる便利な住宅ですが、特性をきちんと理解しておかないと失敗しやすくなってしまいます。収益面でも理想的な運営ができるように、将来を見据えた長期的なプランを考えておきましょう。