住宅の騒音はどう解決する?騒音の基準・種類・トラブルへの対処法を紹介

    「上の階の生活音がうるさい…」「隣の家からテレビの音が聞こえてくる…」など、騒音トラブルで悩んでいる人は多数存在します。

    自動車や話し声など、私たちの日常生活には多種多様な音が溢れています。

    しかしこの音が大きければ大きいほど、人は「うるさい」と不快に感じてしまうもの。

    こうした騒音は放置すると健康被害を受ける可能性もあるため、早々に解決すべき問題といえるでしょう。

    この記事では、騒音の基準やさまざまなトラブルへの対処法を紹介します。

    「騒音」の基準とは?

    日常生活のなかで当たり前に存在している「音」。まずは人間が音を認識する仕組みや、「騒音」と感じる基準についてわかりやすく解説します。

    音をうるさく感じる仕組みとは?

    騒音のイメージ図

    はじめに、私たちの耳にどのような仕組みで音が届けられているのかを説明しましょう。

    音は、空気中を通り、床や壁などの個体を振動させて耳に入ってきます。

    たとえば家の中にいて、外から自動車のクラクションが聞こえてきたと仮定しましょう。

    クラクションの音が外気の中を漂い、家の壁にぶつかります。一部の音は壁によってはね返されますが、ほかの音は壁の中を伝って家に侵入してきます。

    家の中に入ってきた音は壁を振動させ、また空気中を漂い私たちの耳へと入ってくるのです。

    ある程度壁などで遮断されていますが、耳に届いた音が大きければ「騒音」と感じてしまいます。

    「騒音」と感じるのは約60db(デシベル)

    音の大きさを示す「db(デシベル)」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?

    dbは、音波の振幅の大きさとエネルギーの大きさから算出される、音の単位です。

    私たちが「この音はうるさい」と感じてしまう一つの基準は「60db以上」といわれています。

    60dbを日常生活の音で表すと「普通の声の大きさで話している会話」程度の音です。もう少し大きさを上げて70dbになると、騒々しい街頭や賑やかな事務所程度の音になります。

    普通の声の大きさで会話しているときに「うるさい」と感じる人は少ないかもしれませんが、会話がずっと続いていれば徐々に「うるさい」と不快に思う人も出てくるでしょう。

    こうしたことから、人が騒音だと感じるのは「60db」からといえるのです。

    安眠したいなら夜間は約40db(デシベル)が理想

    60db以上がうるさいと感じるのは、日中などの起きている時間帯に限られます。

    静音が安眠の鍵となる夜間では「40db以下」が理想です。

    40dbといえば、静かな図書館内程度の音しかありません。人によっては音に敏感で、少しでも物音が聞こえてくると眠れないこともあるでしょう。

    そのため騒音で眠りにつけないと悩んでいる場合には、できるだけ40db以下になるように、記事後半で紹介する対処法を実践してみてください。

    騒音トラブルの原因になりやすい音の種類とは?

    次に、騒音トラブルの原因になりやすい音の種類を紹介しましょう。

    洗濯機・掃除機などの家電による音

    掃除機をかけている様子

    近隣住民との騒音トラブルになりやすい、洗濯機や掃除機などの家電による音。

    とくに賃貸に住んでいる場合に多く発生するケースです。これは近隣住民と生活リズムが違うために発生してしまうことがほとんど。

    たとえば昼間に働いている場合、洗濯物を洗ったり掃除機をかけたりするのが夜になってしまうこともあります。

    しかし階下の住人が寝る時間帯に活動していると、床から振動し騒音が伝わってしまうのです。

    子どもの声・足音などの生活音

    子どもが家ではしゃいでいる様子
    Photo by Allen Taylor on Unsplash

    子どもの声や足音などの生活音も、騒音の原因になりえます。

    子どもの声は大きく、よく響きます。また時間帯を気にせずに、大きな声で笑ったり叫んだり、走り回ったりすることも少なくありません。

    「元気な証だから大丈夫」と許容してくれる人が相手ならよいですが、すべての人が受け入れられるわけではないことを覚えておきましょう。

    また、このトラブルは賃貸でよく起きますが、戸建て住宅だからといって安心できません。

    戸建ての場合でも、近隣住宅との距離が近い狭小住宅などの場合には、声が壁を伝って聞こえてしまうことがあるため注意しましょう。

    楽器・テレビなど音の出る機器による音

    ネットフリックスを見ようとしている様子
    Photo by freestocks on Unsplash

    楽器やテレビの音も騒音トラブルの原因の一つです。

    楽器を弾くことが趣味の場合、自宅でも触れていたいですよね。しかし防音室などの特殊な部屋ではない限り、盛大に音漏れをしている可能性があります。

    また大迫力で映画を見たいからといってテレビの音量を大きくしていると、やはり壁や床からの振動により近隣住宅に騒音が伝わってしまうのです。

    自分にとっては日常的なことでも、近くで暮らしている人への配慮を忘れないようにしましょう。

    ドアの開け閉めなど家庭用設備による音

    扉が開いている様子

    ドアの開け閉めなど、家庭内にある設備の音でも騒音トラブルになってしまうケースがあります。

    ドアを閉めるときについ力を入れてしまう人、勢いよく扉を開けてしまう人など、それぞれに癖があるかもしれません。

    こうした生活音は頻度が高く、近隣住民にストレスを与えている場合もあるのです。

    建設工事・カラオケ店・廃品回収車等による音

    住宅以外の騒音トラブルでは、建設工事やカラオケ店などの音も問題視されています。

    どちらも防音対策をしているはずですが、完全に音を防ぎきれていないため家の中まで音が届いてしまうのでしょう。

    また廃品回収車による音も気になってしまう人が多いのではないでしょうか。

    廃品を回収するときに発生する大きな物音や、廃品回収を呼びかける放送なども「うるさい」と感じる原因といえます。

    また、期間は限られますが、選挙カーなども同じような騒音レベルになる場合があります。

    近隣住宅の騒音に悩まされたときの対処法

    ここからは近隣の騒音に悩まされているときの対処法を4つ紹介します。

    騒音を我慢していると健康被害を及ぼす可能性もあるため、早めに対策を考えるのがおすすめです。

    関係が良好なら直接伝えるのもあり

    相手との関係性が良好な場合には、直接伝えてみてもよいでしょう。

    ただし、伝えるときには角の立たないように注意してください。

    「お宅の生活音がうるさくて寝不足だ」などとストレートに言ってしまうと、揉めごとの原因になってしまうからです。

    引越しには費用がかかるため、トラブルがあってもすぐにその場所から離れることは難しいでしょう。仲がよい相手でも今後の関係性を考慮しながら、言葉を選んで伝えてみてくださいね。

    言いづらい場合は管理会社や自治会へ連絡

    相手とそれほど付き合いがなく言いづらい場合には、中立な第三者を間にはさむことをおすすめします。

    賃貸物件の場合には「管理会社」、戸建て住宅の場合には「自治体」です。

    前述のとおり、騒音についての苦情を直接伝えてしまうと相手が気分を害してしまう恐れがあります。

    いつ顔をあわせるかわからないご近所とは、トラブルもなく上手に付き合っていきたいもの。

    そのため管理会社や自治体に連絡して、誰からの苦情なのかわからないように伝えてもらいましょう。

    度を越した騒音は警察への相談も視野に

    度を越している騒音の場合には、警察への相談も考えておきましょう。

    先にも述べたとおり、あまりにも大きすぎる音が日常的に聞こえてくる場合、そのまま我慢していれば健康被害を被るおそれがあります。

    そのため自分たちや管理会社などでもどうにもならない場合には、警察に相談するのも一つの手段です。

    騒音自体を規制する法律はありませんが、音による被害の程度や状況によっては、「軽犯罪法」や「暴行罪」「傷害罪」などが成立するケースも珍しくありません。

    健康被害等が出ている場合は損害賠償請求も可能

    すでに騒音が原因で不眠や頭痛、うつ病などの健康被害を引き起こしている場合には、損害賠償請求も可能です。

    ただし損害賠償請求が認められるかどうかは「受忍限度」によって判断されます。

    受忍限度とは、一般的に判断して我慢できる音の範囲内か、騒音対策をしたかどうか、などから総合的に判断される基準です。

    そのため通常では我慢できる範囲だったり、管理会社などに相談するなどの対策をしていなかったりすれば損害賠償請求を認めてもらえません。

    誰が聞いても騒音だと判断できる場合には、「何時にどんな音がした」などの証拠を集め、できる限りの対策を施したうえで請求を行いましょう。

    知らぬ間に加害者に?騒音で苦情を言われたときはどうする?

    NOISEの文字

    これまでは騒音に悩んでいる人への対策を解説しました。

    ここからは、もしもあなたが知らぬ間に加害者になっていた場合について紹介します。

    「自分では気にしていなかった音でも、他人にとっては騒音だった」ということは日常茶飯事です。

    そこで近隣住民から騒音についての苦情を言われてしまった場合には、具体的なヒアリングをして内容を確認しておきましょう。

    たとえば「何時ごろにどのような音が気になってしまうのか」といったことを聞いておくのです。

    そしてその時間に自分がやっていることを考え「音が響かないようにマットを敷く」などの対策を実施しましょう。

    ただし近隣住民が神経質だったり、騒音に心当たりがなかったりする場合には、トラブルを防ぐためにも管理会社や自治体に連絡して仲介してもらいましょう。

    騒音への対処は日頃からの配慮が大切

    ダイニングテーブル

    騒音の感じ方は人それぞれなので、双方がお互いに配慮する状態が理想です。

    騒音トラブルで悩んでいた自分が、いつの間にか加害者になってしまう場合も十分に考えられます。

    ある程度の生活音は仕方ないかもしれませんが、周囲にも気を配りながら大きな音を出さないように生活しましょう。