注文住宅でこだわりたい!設置できる階段の種類と便利な機能をご紹介

    一軒家の中で、意外と大きなスペースを占める階段。

    なるべくコンパクトにしたいと思っても、毎日の家事や生活をスムーズにするためには、使いやすさも重視したいものです。

    こちらの記事では、階段の寸法、素材や型、あると便利な機能まで、階段の造作に必要な知識を解説します。

    新築・リフォームのタイミングでどんな階段にするか迷っている人は、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

    階段の基礎知識

    普段意識せずに階段を使っていると、「使いにくい」と思うことはあまりないかもしれません。

    その理由は、設計時に使いやすさに配慮されているおかげです。

    現在、建築基準法で最低の寸法や手すりの設置など、安全性を考えた最低の基準がありますが、基準通りの最低ラインで造作すると使いにくいとも言われます。

    基準以上に使いやすく快適な階段にするために、階段の基礎知識を押さえておきましょう。

    建築基準法で階段寸法は決まっている

    階段のイメージ図

    住宅の階段は、建築基準法で最低寸法が定められています。

    • 階段や踊り場の幅:75cm以上
    • 足で踏むステップの踏面(ふみづら):15cm以上
    • 段の高さを示す蹴上げ(けあげ):23cm以下

    基本的にこの寸法を元に設計されますが、建築基準法に忠実に作ると、急な階段になってしまいます。

    特に高齢者や小さな子供がいる場合は勾配を緩くする配慮が必要ですが、階段の勾配は、緩ければ緩いほど昇り降りやすいという訳でもありません。

    使いやすさは、足で踏む踏面と蹴上げのバランスによって決まります。

    一般的に蹴上げの2倍に踏面を足して60cmになる寸法(蹴上げ×2+踏面=60cm)が標準的な日本人の歩幅に合っていると言われますが、使いやすい階段があったら寸法を測っておくのも適切な寸法を知る良い方法です。

    どんな素材がある?

    階段

    階段で最もポピュラーなタイプは、木製で「ボックス階段」などと呼ばれる箱型の階段です。

    温かいぬくもりが感じられる木材は、比較的コストが安くて加工が簡単なのが最大のメリットです。

    構造材にスチールを使う鉄骨階段は、木製と比較すると値段は高いですが、強度に優れ、線の細いデザインを実現できるのが魅力。

    スケルトン階段」と呼ばれる骨組みだけの階段に使われることの多い素材です。

    アルミ製は錆びにくいので屋外に多いですが、室内でも時々見かけられます。アルミはスチールに比べて軽いですが、強度は弱く、スチールの3倍ほどの厚さが必要になります。

    ステンレスは、アルミ同様錆びにくく、スチール同様の強度で、デザイン性の高い階段が造作できます。

    最近では、木材と金属を組み合わせた階段の施工例もよく見られます。

    リビング階段として注目の「スケルトン階段」とは?

    スケルトン階段のある住宅

    スケルトン階段とは、踏み板とそれを支える骨組みだけで構成され、段と段の間をふさぐ板(蹴込み板)がない階段です。

    おしゃれで開放感があり、光や風を通しやすい反面、比較的値段が高いのが難点。

    小さい子供や高齢者が住む場合は、足が階段の間に挟まりやすくなるので、設計には工夫が必要です。それでも、光や風を通す開放感は何よりの魅力。

    中2階を設けるスキップフロアや、ふたつの階を繋げる吹き抜け、リビングなどに設置すれば、スペースを広く使えて、可能性が広がります。

    スケルトン階段はどんな形状でも施工できますが、複雑な形を選ぶなら金属製がおすすめ。木製だと補強が必要になり、美しいデザインに仕上がらない可能性が高くなります。

    階段の種類とそれぞれの特徴は?

    階段には、直線型のI型をはじめとして、L字型、U字型、らせん階段、コの字型と、たくさんの種類があります。

    一見すると、まっすぐな階段が一番狭いスペースで設置できるようにも思えますが、実際は、間取りやデザイン、階段下の利用によって、有効に活用できる階段の種類は異なります。

    ハウスメーカーや工務店とも相談して、どの型が良いか慎重に選びましょう。

    I型の直階段

    直線階段

    まっすぐなI型の直階段は、一般家庭でよく見られるタイプ。直進階段とも呼ばれます。シンプルな形で価格が安く、設置面積を少なくしてスペースを有効に活用できます。

    直線なので見通しが良いのもメリットですが、省スペースで設置すると急勾配になりがち。また、折り返す場所がないので、落ちると下まで止まらない可能性も。

    不安であれば、手すりの設置だけでなく、滑り止めを貼れば安心です。

    L字型のかね折れ階段

    L字階段

    途中でL字型に折れていて踊り場がある階段は、かね折れ階段とも呼ばれます。

    折れていて踊り場があると落ちても途中で止まることができますが、広い面積が必要で価格も高め。

    I型と同じ高さだと段数が多く、勾配が緩やかになるのはメリットです。I型より間取りに合わせて設計しやすく、デザインも工夫できます。

    U字型の折り返し階段

    折り返し階段

    U字型に折れている階段は、2ヵ所に踊り場があると折り返し階段、踊り場がないと回り階段と呼ばれることもあります。

    安全性を重視するなら、2か所に踊り場を作ると良いでしょう。

    L字型よりさらに広いスペースが必要で、価格も高くなりますが、間取りに合わせた設計にすればコンパクトな階段作りも可能です。

    らせん階段

    螺旋階段
    Photo by Andre Tan on Unsplash

    カーブ状のらせん階段は、それだけでおしゃれなイメージを演出できます。複雑な形なので、費用は比較的高くなります。

    台形や三角形のステップは、中心部が狭くなるデザインが多いので昇り降りは注意が必要ですが、省スペースに設置できるのがメリット。狭小住宅でよく見られるタイプです。

    リビング階段にするなら、光や風を遮らないスケルトン階段がおすすめ。狭くても気にならず、スタイリッシュな空間が生まれます。

    コの字型の中あき階段

    U字の階段

    U字型の中央を広げて踊り場を2段にしたり、勾配を緩くするなどして、安全性を高めた階段です。

    スペースを広く取る必要がありますが、階段下のスペースを有効利用するためにコの字型が選ばれることも。

    その場合は、階段下を使うときに頭をぶつけないようにするなど、設計時に色々な工夫ができます。

    階段にあると便利な機能5選

    寸法や素材、種類など、階段について基本的な知識を押さえたところで、次は階段に設置したい便利な機能を見てみましょう。

    階段下の収納は、階段の設計時からどんな使い方をするか考えておくと、階段の場所や形などの調整もできます。

    手すりや階段昇降機、階段滑り止めなど、後から取り付けられるものもありますが、コンセントなどはリフォームで後から取り付けると、意外と費用がかかるものです。

    新築時に必要な機能や設備を確認しておきましょう。

    老後の生活に備える「手すり」

    シンプルな手すりのある階段

    新築の場合、階段の手すりの設置は建築基準法で義務化されているので、少なくとも片側への設置は必要です。

    さらに、足腰が弱った時のことを考えて、両側に途切れなく手すりを取り付けるのもおすすめ。両側に取り付けられないのであれば、下りで右側になる位置に設置すれば、つかみやすいと言われます。

    手すりの位置は、利き腕に合わせるのも良いでしょう。

    建築基準法では、下の床から1mの高さにあるステップの位置までは手すりを設置する義務がありませんが、なるべくステップが終わっても20〜30cm程度水平に手すりを延ばせば安心感も増します。

    取り付けの高さは75〜80cmが標準ですが、注文住宅であれば、大腿骨の辺りや、腕を下ろしたときの床から手首の高さに合わせて決めると使いやすいと言われます。

    体が不自由でも安心「階段昇降機」

    昇降機

    車椅子や椅子に座ったまま昇り降りできる階段昇降機は、体の不自由な人や足腰が弱っている人の強い味方です。

    階段の材質には比較的柔軟に対応できる上、階段のタイプもI型だけでなく、L字型、U字型、らせん階段にも取り付け可能ですが、幅が狭ければ取り付けられません。

    他にも収納スペースやコンセントなどの条件もあるので、興味があれば業者に確認してみましょう。

    スペースを有効活用できる「階段下収納」

    階段下に家具を置いている住宅

    階段の下は、斜めになっていたり、奥行きは深くても幅は狭かったりして、計画性なく階段を造作すると、無駄なスペースになることも。

    設計時に階段下の使い方も考えておくと、有効に活用できるでしょう。階段下の使い方を事前に考えれば、階段の種類だけでなく、適切な階段の位置もわかります。

    収納例としては、作り付けの家具として扉付きの棚を作っておいたり、階段の形に合わせた棚を設置して、本棚などに使うなど。

    中には、収納だけでなく、照明器具と机などを置いて、小さなオフィスのように使う例もあります。リビングにあっても工夫次第で独立した空間にするのも可能です。

    DIY貼り付けも可能「階段滑り止め」

    階段からの落下は、重大な怪我につながる危険性があります。

    ステップから滑り落ちるのを防ぐ「階段滑り止め」は、テープや吸着で簡単に貼り付けるタイプ、ビズでしっかり固定するタイプなど、取り付け方はさまざま。

    色やデザイン、耐水性のあるもの、万が一転倒しても衝撃が少ないクッション付き、暗い場所を照らしてくれる蓄光タイプなど、付加機能で選ぶこともできます。

    幅広い用途で使える「コンセント」

    階段を造作するときに取り付けておきたいのがコンセントです。特に階段の途中に設置すると、予想以上に便利。

    夜間、階段に明かりが欲しいときは、途中にセンサー付きのLED常夜灯などをさし込んでおけば、わざわざ階段の照明をつけなくても安心して昇り降りができます。

    掃除のときには、掃除機のコードをさす場所に。

    コードの長さには限界がありますが、途中にコンセントがあれば、階段の上から下までさし直す必要なく掃除ができます。

    おしゃれな階段を家のアクセントに

    白いスケルトン階段がある住宅

    階段は1日中家にいれば何度となく使う場所です。10年、20年と長く使える階段は、最初の造作で多少費用はかかっても、先のことまで考えて設計すべきでしょう。

    小さい子供がいても、スケルトン階段を取り付けたいと思ったら手すりに透明・半透明のパネルをつけたり、安全のためのネットを取り付けることもできます。

    妥協をせずに案を練って、間取りにもインテリアにも合うお気に入りの階段を作ってみてくださいね。